SUDIO ミッドレンジワイヤレスイヤホンETT
SUDIO(スーディオ)という北欧スェーデンのブランドのワイヤレスイヤホン・ノイズキャンセリングの Bluetooth イヤホン、ETT(エット)を試聴用に送っていただきました。今回は、プロのレコーディングエンジニアとして、厳しく忖度なしでレビューします。
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ETTの定価は税込み17900円。利用者の多いApple AirPods2(エアポッズ2)が19000円程度なので、一般的にはワイヤレスイヤホンの中ではミッドレンジ(中級)に当たるでしょうか。
SUDIOのワイレスイヤホンの中では最上位機種
SUDIO(スーディオ)のワイレスイヤホンには、
- 8900円のNio
- 14900円のTolv
- 17900円のETT
というラインナップなので、SUDIOの中では最上位モデル。
SUDIO公式サイトによるとETTは
<VGP 2021受賞モデル> 完全ワイヤレスイヤホン/ノイズキャンセリング(1.5万円以上2万円未満)部門受賞
となっています。色は5色あるようですが、今回はブラック。北欧ブランドならではのデザインの良さも光ります。
音楽的で高いレベルの再現性に感心
結論としては、ワンランク上(2-3万円台)のハイクオリティな再現性、自然かつ非常に音楽的な音質のワイヤレスイヤホンで非常に感心しました。
ANC(アクティブノイズキャンセリング)搭載のワイヤレスイヤホン
SUDIOのETT(エット)は、ANC(アクティブノイズキャンセリング)搭載のワイヤレスイヤホン。外箱の説明では、「専用ケースを使って、USB Type C の 電源経由で充電ができるほか、ワイヤレス充電も可能だ」と書いてあります。今回は手元にワイヤレスチャージング用の充電器がないので試せないのですが、特にワイヤレス充電規格の記載は見当たりませんでした。
高級感たっぷりで厚みのある外箱 期待感は高い!
箱は最新のスマホやiPhone などの梱包と同様、かなりしっかりした厚みのある厚紙の箱で、デザインも高級感があります。中を開けてみると、さらに高級感がたっぷりの本体ケースと、アクセサリーケースが入ってます。
本体ケースには短いストラップベルトがついていて、「使用する前に充電してください」と注意書きがあります。
アクセサリーケースの中身
アクセサリーケースの中には
- 短い USB-C のケーブル
- 小柄な日本人には嬉しい8サイズの 交換用イヤーチップ
- シンプルな取扱説明書(英語のみ)
- 登録や保証の案内のカード(英語のみ)
- 注意書きなどの規約が複数言語で書かれた冊子(日本語もあり 工場設定に戻す初期化の方法も記載)
が入っていました。また、この箱とは別に公式サイトでの延長保証の案内の紙(日本語)が配送時のダンボールに入っていました。
必要なくても開け閉めしたくなるほど高級感たっぷりのケース
充電する前にどうしても見たかったので、一度ケースを開けて本体を見てみました。このケースの蓋の開け閉めの感覚が高級感があって気持ちいいですね。開ける時には特に抵抗感はありませんが閉める時には、マグネットが仕込まれているのか、ピタッと閉まるようになっています。スムーズに開閉できるしっかりしたケース充電器です。
慣れるとこれは本当に便利。人によって使用状況は大幅に佐賀出ると思いますが、毎日3-4時間使用でケースへの充電は7-10日に一回で十分でした。
充電開始
付属のUSB-C ケーブルはさすがに短いのですが、私は手元にあるタブレットやスマホが USB-B のものが多いので、長いUSB-Cケーブルを持っていないため、USB 延長ケーブル経由で充電することにしました。いわゆる電源アダプター、USB充電器、ドングル・キューブ自体は付属されていませんので、スマホの物などを利用する必要があります。
USB ケーブルを差し込むと、本体の四つの淡い水色の LED が光りました。取扱説明書によると、もう満充電なのかもしれないのですが、念のため20分ほど充電しておくことにしました。
イヤーバッズ本体の接点部分の絶縁フィルムを剥がす必要がある
20分ほどして、どうかなと思ってもう一度本体を取り出してよく見てみると、実はイヤーバッズ本体側のケースとの接点部分に絶縁のフィルムが貼ってあり、そのままでは本体側には充電がされていないようでした。
この小さい絶縁フィルムを剥がして、もう1度ケースに戻すと、ケースの LED の一番右側だけが一瞬点灯して、その後一番左側の LED だけが点灯するようになります。取説によれば25%充電の状態です。「なるほど、そういうことだったのか」と思いながら、もう20分ぐらい置いてみました。
このバッテリー状態の LED 表示も、ケース側のバッテリー状態を表示しているのか、 イヤーバッズ本体側のバッテリー状態を表示してるのかは、ちょっと分かりにくいですね。
電源を入れてブルートゥース接続してみる
ETTのイヤーバッズ本体をケースから取り出すと、自動で電源が入ります。
本体外側丸いボタンの下のペアリングLEDが点滅してるので、この間にスマホやタブレットなどから Bluetooth でペアリング検索をします。Ettのブルートゥース接続は非常に簡単です。
ペアリングするまではイヤーバッズ本体のLEDが青と赤交互に早く点滅しますが、ペアリング完了すると、LEDは省エネのためか、消灯します。バッテリー状態・充電状態はスマホ側で確認できます。イヤホンを装着した状態でペアリングに成功すると、イヤホンから「Pairing successful」と聞こえます。
イヤーバッズの電源のオン・オフについては、
- 基本的には、ケースから本体を取り外した時点で自動的に電源オンになり、
- 手動で電源オフしたい場合には、本体のボタンを6秒間長押し
ということのようです。
フィット感が良く、歩いても落ちる心配なし
なお、最初についていたイヤーチップ(恐らくL)は筆者(身長172cm 耳は小さめ)には少し大きかったようで、1サイズ小さいもの(M)に替えました。耳へのフィット感が非常によく、装着した状態での物理的な重さのバランスも良いようで、負担感が無く、歩いたり飛んだり跳ねたり、ヘッドバンギングしても、落ちる心配が無いどころか、まったくズレないですね。この装着感はかなり優秀です。このあたりはAirpods発表以降、各社がしのぎを削って改善しているんでしょうね。
耳へのハマり具合が安定しているので音のブレが少ない
スピーカーよりヘッドホン、ヘッドホンよりイヤホンで難しくなるのが「耳へのハマり具合で音質が大きく変わってしまう」という問題。なるべく毎回、無理に押し込まなくてもピタッと正確に聞こえる耳のポジションにハマって欲しいのですが、この点ではETTは非常に優秀。指で動かしてみると、ちゃんと聞こえる位置以外では、スカッと低域が抜けた音になるので、ポジション探しは苦労しなくて良さそうです。
ただし、耳に装着する時に、大きな操作ボタンに触ってしまいがちなので、注意は必要。一度装着してしまえば、非常に操作しやすいボタンなのですが。つけたり外したりするときはなるべく細い出っ張った部分を持つのがいいかもしれません。
音質は無理なくナチュラルで音楽的 中域の再現性はお見事
実際に試聴してみましょう。当方が試聴に使っているのは、個人的にも面識があり、フォープレイなどの活躍で知られるジャズ界のレジェンド、ボブ・ジェームス(Bob James)のソロアルバム「Joy Ride」を非圧縮のWAVファイルで取り込んだもの。親日家で、TOKYO JAZZ以外にも東日本大震災復興アルバムやNHKの番組にも出演してくれている。もう一つ試聴に利用したのは、まったく違うジャンルでU2の「Songs of Innocence」。こちらは配信のみの作品だったので、元の配信ファイルそのまま。
この製品に限らず、スピーカーやイヤホンは、本来の音質・性能を発揮するまでは多少エージングが必要なので、開封したての音はあまり当てになりません。最初の1分ほどはレスポンスが遅く、少しモコっとした印象。しかし、1分ほどするとだいぶスッキリしてきます。
一つ一つの楽器、一つ一つの音をしっかりと聞かせる高い再現性
全体にバランスが良く、自然で、どこかを無理に強調した感じがまったくありません。ピアノ、ベース、ギター、ドラム、バッキングのシンセ、そしてボーカル。分解能が良く、非常に分かりやすい。
一般に、「分解能」を売りにしたオーディオ機器は高域を強調しただけのものが多いのですが、そういった小細工は一切無し。特に中域の再現力が充実していて、ボーカルや一つ一つの楽器の音が自然に聞こえ、非常に音楽的。これはかなり素晴らしいですね。
一つ一つの音色、演奏、ニュアンス、息遣いが、「意味あるもの」として聞こえてきます。「音として」よりも「音楽として」聞かせてくれます。この辺りは新興ブランドでありながらも、欧州メーカーならではの伝統文化といったところでしょうか。
アタックだけでなく、ピアノやギターの余韻やリバーブの切れる瞬間まで緻密によく聞き取ることができます。この点も非常に優秀で、思わずうならされてしまいました。
20分ほどすると、70Hz以下の低域、12kHz以上の高域も出てくるようになり、音のスピード感もアップしてきました。
センター定位の低域は少しゆったり 中低域の広がり感はもう少しあってもいい
一方、低音はベースのふわっとしたところ、350Hz辺りと最低域70Hzくらいに少しピークがあるらしく、ほんの若干ですが、「お釣り」がある印象。出だしのスピード感は十分ですが、わずかにリリースが長いように感じます。(このあたりは2-3日エージングすれば落ち着いてくるかもしれませんが。)
ステレオの広がり感や奥行き感は、パンで言うと左右両端をL100-R100とすると、L70-R70の中央付近から少し広がったところまでの分離度や再現性は全ての周波数帯域でかなり高いです。一般のヘッドホンやイヤホンではセンターと左右両端の再現は比較的容易ですが、このような中間定位は安価なものイヤホンやヘッドホンではほとんど再現できません。ETTのようなこれだけ精緻なセンター周辺の分解能の高さは、1-2ランク上の価格帯の機種でも、なかなか実現できるものではありません。それをこの価格帯で実現しているですから、かなり秀逸です。
しかし、それより外側の広がり感は急激に薄くなります。左右の両端は、中高域がしっかり聞こえるものの、中低域から低域にかけてが少ないようです。センターの中低域はしっかりと聞こえていますから、ちょっと珍しいタイプの音像です。
左右別々に通信する方式の限界なのかもしれませんが、クラシックやライブ盤では少しさびしく感じるかもしれません。
音を出しつつけて2時間たつと、ドライバーもだいぶ馴染んできます。低音から高域までかなりバランスが落ち着いてきました。ANCはテストのためにオン/オフを繰り返していますが、バッテリー残量は70%なので、表記のスペックどおりの長時間、連続で聞けそうです。
※イヤホン選びは店員さんに騙されないよう注意!
大手家電量販店などにヘッドホンやイヤホンを探しにいくと、親切に「これ音質がいいですよ」とアドバイスしてくれる店員さんがいる(笑)のですが、たいてい紹介してくれるのは既に壊れて歪んでしまっているか、無理やり高音や低音を強調したものばかりで、大抵はその店員さんの「好み」でおすすめしちゃってますよね。普通の方は「自分の好きな音」を選んで楽しんでいただければいいと考えています。
当方はプロのエンジニアなので、周波数特性がフラットで、分解能がよく、ステレオ感が正確に再現できるものしか必要ありません。通常は持参したiPhoneを接続して、丸一日かけて、30種類以上を試聴します。たいていの場合、30機種中、25機種は2秒聞いて「これダメ」となります。
最近では、2018年ごろに、使用していたオーディオテクニカの有線イヤホンATH-CK70PRO(希望小売価格 ¥19,800税込)の本体は正常なものののイヤーチップ(スポンジ部分)が傷んできて、耳へのフィット感が悪くなってしまったため、別のイヤホンを探したときは、オーディオテクニカ後継機種がいまひとつだったので、ソニーのMDR-XB55を購入しました。ワイヤレスは当時あまり期待していなかったので、数種類しか試聴しませんでしたが、3-5万円台の高級機種でも、音質はいまひとつな印象でした。
1ボタンなので操作方法を覚えるまでは慣れが必要かも
ETTでは、イヤホンの本体の外側の丸い部分が大きなボタンになっていて、このボタンですべてを操作します。比較的大きなボタンなので、耳にしながらでも操作しやすい形状です。(左右どちらでも操作OK)
- 2秒間押さえるとANC(ノイズキャンセリング)のオンオフ(”Noise Canceling On””Noise Canceling Off”と女性の声で知らせてくれます)
- 短くワンクリックで再生とポーズを交互に切り替え
- 短く2クリックで次の曲へ
- 短く3クリックで曲頭または前の曲へ
- 電話を受けたり切ったりする場合にはワンクリック
- 2秒押さえると着信拒否になるようです
と言うわけで、音量・ボリューム調整はスマホ本体で行う必要があります。やってみたところ、短く3クリックは少し難しいですね。あまり使うことは無いと思いますが。
スマホで音量を最大にしても耳が飛ぶほどの音量は出ない
ためしに、スマホで音量を最大にしてみたりしましたが、十二分に音楽に没頭できる音量は出ますが、10mmのドライバーサイズのせいか、32オームのドライバーインピーダンスのせいか、耳が飛ぶほどの大音量にはなりません。イヤホン難聴は避けたい、という人には安心。
ANC(アクティブノイズキャンセリング)の効果を試してみる
アクティブノイズキャンセリングとは
アクティブノイズキャンセリング(ANC)は、内蔵のマイクで外部の音を拾ってそれを逆位相にして出すことで打ち消して、耳の中では聞こえないようにする仕組み。言葉で言うと単純ですが、肝心の再生している音の音質に悪影響を与えては意味がありません。
このノイズキャンセリング技術が発明された当初、利用されていたのは、音の出入りをシャットアウトしたいレコーディングスタジオの換気ダクト用のものでしたが、元音への影響が大きく、部屋全体に位相がフワッとなってしまうものが多かったので、試聴させていただいたときは非常に残念だったことを覚えています。
その後、騒音の大きい飛行機内でのオーディオ・ビデオ視聴用に必要性が高かったせいか、イヤホン用のANCは急速に発展しましたね。当方は職業的にはあまり使う事がありませんが、普通の人には気になる機能だと思います。
ただ、このETTでは、元々耳のフィット感がとてもいいので、外部の音があまり気になりません。例えば家の中や建物の中ならノイズキャンセリングオフでも、外の雑音はほとんど気になりません。
騒音のうち、中低音を効果的に減らし、元音への悪影響は少ない
でも、普段の通勤通学のバスや電車の中では、雑音は減らしたいですよね。実際ノイズキャンセリングを試してみると、音量感を感じる中低音を中心に、効果的にノイズキャンセリングを行っているようです。物を叩く音のような瞬間的な音は、パチパチした高音のアタックの部分は聞こえますが、中低音はかなり無くなるので、かなり軽い音になります。パトカーのサイレンのような警報音などは聞こえたほうが安全ですからね。
一方、懸念していた元音の音質への悪影響は、驚くほど少ないと感心しました。
IPX5の防水機能
通話用のマイクロフォンが内蔵されています。また、スポーツジムで汗をかいたりジョギング中に多少の雨を浴びても大丈夫なIPX5の防水機能が搭載されています。
※IPX5というのは噴流(ホースで噴射された水)を3分間浴びても大丈夫、というレベルの防水規格です。
「30時間の再生時間」と記載されているが、ちょっと分かりにくい
箱には「30時間の再生時間」と記載されていて、一瞬「すごいな」と思ったのですが、中に入っている取説の詳細「Specificcations」をよーく見ると、
- ケース側のバッテリーが3.7ボルト500 mAh
- イヤーバッズ本体のバッテリーが50 mAh
と書いてあります。
つまりモバイルバッテリーのように、ケースに一度充電しておいて、その「ケースからさらにイヤーバッズ本体に充電する」というイメージです。そのため、イヤーバッズ本体の連続再生時間は「アクティブノイズキャンセリングなしで6時間、アクティブノイズキャンセリング付きで音楽をかけて連続で再生できるのが4時間」ということです。
実際に便利なケース充電
そしてケースからイヤーバッズへは5回充電ができるようで、その合計「トータル再生時間がANC なしで30時間、 ANC付きで音楽を聞けるのは20時間」と記載されています。使用していないときはUSBケーブルでなく、このケースを持ち歩いていれば補充電できる、ということなのでコレは便利。高級感のあるケースで、大きさはそこそこありますが、見た目に比べると、かなり軽量です。
「Charging Time(充電時間)が1.5時間」と記載されていますが、これが USBからケース内のバッテリーに充電される時間を指しているのか、ケースからイヤーバッズ本体に充電される時間を指しているのかは、(今のところ)不明です。
総評:アーチストとの距離を近づけてくれるイヤホン
総評としてはETT(エット)は、非常に音楽的で完成度の高いワイヤレスイヤホン。安っぽい誇張された音質のラジカセやイヤホンで耳が毒されてしまった人には、ちょっとおとなしく聞こえるかもしれません。
しかし、もし、あなたが本当に音楽が好きで、あなたの大好きなアーティストが、「こういう思いで音楽を作ったんだ」ということを、手に取るように肌で感じられる距離で、「じっくりと曲を聴きたい、音楽を味わいたい」と思うなら、このSudioのETTは、他のメーカーのもっと高価な高級機種を押しのけてでも、おすすめできるイヤホンです。
割引クーポン情報
クーポンコード:mixing15
※コードの有効期限はありません。
※Sudio全商品対象15%OFFの割引クーポンとなります。
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Originally posted 2021-05-13 12:49:14.