作曲家の仕事(ポップス)

作曲家は「曲(メロディーだけ)を作る」仕事。


【作曲家と編曲家の区別】


ポップス/ロックでは、作曲家は「曲(メロディーだけ)を作る」仕事。
一方、バック(カラオケ)は、主に「編曲家(アレンジャー)」が考え、スタジオミュージシャンが演奏したものをレコーディングスタジオでレコーディングします。作曲家と編曲家、両方やっている人もいますが、別々の仕事ですし、作曲家が印税で収入を得るのに対し、編曲家は「1曲いくら」のギャランティー制と、大きく異なりますので、まずはこの区別をハッキリさせましょう。
作曲家はジャンルとクライアント(アーチストに提供するのかCM、TVのBGMか)などに
よって仕事の範囲が変わるので、いくつかに分けて説明する。
少なくとも、皆さんがベートーベンなどに持っているような「うーん」と唸って
ピアノに向かい、「1年に一曲名曲ができれば」、、などというノンビリした仕事では決してない。

【作曲家の待遇】(ここは作詞家と同じ)


・音楽出版社・作家事務所と契約するか、フリーランス。
・月給は無い。(逆に時間の拘束もされない)
・曲が採用されれば約半年後、印税のうち半分が音楽出版社に抜かれ、残りが振り込まれる。
  ※印税については別途まとめて紹介します。

【作曲家の仕事ぶり】


1.新曲の発売が決まると音楽出版社や作家事務所に「コンペ」のお知らせが来る。
  締め切りは3~7日。倍率は20倍以上。
2.あなたのケータイかメールに音楽出版社・作家事務所からコンセプトなど情報が来る。
3.デモテープを作る。基本的に使われるのはメロディーだけなのだが、
 バック(カラオケ)も含めてガッチリ作らないと採用される確率は低い。
 現在では打ち込み(MIDI)とある程度の宅録(ProToolsなど)で音楽的な
 内容だけでなく、音質的にもクオリティの高いものを作れないと競争に勝てない。
4.締め切りまでにCD-Rやメールで提出。
くわしくは CDができるまで1もご覧ください。

【作曲家になる方法】


・日本では著作権があるのはメロディーだけで、バック(カラオケ)に著作権は無い。
 なので、本来、メロディーさえ作れれば誰でも作曲家になることができた。
 事実、理論にそれほど詳しくない作曲家・アーチストも少なくない。
 (もちろんプロとして最低限のことは知っているが)
 アコギ片手に鼻歌をカセットテープに録音すれば済む時代もあった。
・ しかし、現在は誰でも自宅のパソコンでクオリティの高いデモテープを作れる時代。
 バック(カラオケ)をカッコヨク、かつ短時間で作るには楽器演奏力と理論が
 欠かせない。最近はポップスでも音大卒の作曲家が増えてきた。
 ある程度キーボード(ピアノ)が弾けないと打ち込みのスピードは上がらない。
 ギターが弾けるとなお良い。
・締め切りが短く、採用されなければ一銭にもならない。採用されても一曲数千円~数万円。
 そのため、とにかく「早く」「たくさん」「質の良いものを」書く必要がある。
 最低月に4曲は完全なデモテープが作れなければならない。
 慣れるしかない。とにかくたくさん作っておくこと。 
・既成曲をよく研究する。
 メロディーは既成概念に縛られたくは無いが、理論は経験の積み重ね。
 既成曲の分析をたくさんこなし、新しいサウンドも常にチェックしておく必要がある。
・上記のように不安定で収入も少ない。
 作曲家のアシスタント・ローディー、通信カラオケや着メロ製作、
 ミュージシャンとしてツアーサポートなど、副業も確保しておく必要がある。
・ まず1ヶ月で100曲書く。
 最初のうちは自分の好きな既成曲のイメージなどがあり、「そんな風にしたい」という
 邪念が混じる。メロディーとコードだけでよい。そんな邪念も30曲くらいでネタ切れになる。
 100曲過ぎた頃からが本当のあなたの作品になってくる。
・ 良い曲を選ぶ-----曲は「作り捨て」
 マイケル・ジャクソンもあの異常に多忙な中、毎年50曲は作っていた。(週に1曲)
 (絶対音感があったので、紙と鉛筆があれば飛行機の中でも作曲できたのは有利)
 アルバムは5年に一枚くらいしか出していなかったので、250曲の中から約30曲を
 レコーディングし、そのうち10数曲を発表していた。
 さすが「キング・オブ・ポップ」–クオリティの高さは「選ぶ」ところに始まっていた。
 
 誰でも「良い曲を作ろう」と思って作るが、いつでも名曲が作れるわけではない。
 どんなに唸っても1ヶ月、1年かけても1発で大ヒット曲を作るのは無理だ。
 1.とりあえず1日1曲、超簡単に10分くらいで簡単なリズム(テンポ)、コード、メロディー
   だけのデモを作っておく。メロディーはフルートやサックスなどの音色で代用する。
   これは何があっても毎日やる。以下の作業とも平行してやる。
 2.1ヶ月たったら30曲できる。その中から2-3曲ベストのものを「選ぶ」。
   他は捨てる。
 3.選んだ2-3曲を1曲1週間で完成度の高いデモテープを作る。
   打ち込み~必要ならギターや仮ボーカルの録音~ミキシングまで。 
・音楽出版社・作家事務所のオーディションに応募する。(レコード会社でも可)
 上記の方法で作った完成度の高いデモが30曲くらいになったら、
 更にその中からベストのものを2-3曲選んで応募しよう。
 ただし、レコード会社に応募しても、あなたが直接契約するのは、紹介された
 音楽出版社・作家事務所になる。
「デモテープの作り方」は別途紹介予定。


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作曲家の仕事(ポップス)–よくある質問1
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Originally posted 2010-07-13 04:33:00.