音楽の仕事講座 CDができるまでの流れを知ろう1

音楽の仕事講座
CDができるまでの流れを知ろう1

ま:「音楽の仕事がしたい人」というと、、
・アーチスト志望   だけじゃなくて
・「作詞家・作曲家になりたい」 とか、
他にもいろんな仕事があるね。
師:そうじゃな。ちょっと古臭いかもしれんがCD発売を中心に、音楽の仕事を考えてみよう。
ただし、実際にはライブ・コンサートや放送関係の方が携わっている人数も多いし、
その分、求人も多いんじゃ。

下の「CDができるまで」の図は何度も出てくるので、しっかり見ておくんじゃ。

【最初に発売日が決定する】
り:えぇっ?一番最初に発売が決定するのぉー?
け:ひょえー!
あ:さすがにそれは想像してなかったわ。。。
師:「よーし!いい曲ができた!それじゃぁ発売しよう!」という流れのほうが理想的なんじゃろうが、
そんなことをやっていると、「いい曲がなかなか出来なかったら?」という可能性が出てくる。
音楽には何ら関係のない話じゃが、企業としてのレコード会社・事務所(プロダクション)は、
それじゃぁ何の計画も立てられない。
経済ニュースなんかで「来年度は○%増収減益」なんて言葉が流れることがあるが、
音楽業界でも企業である以上、「計画」というものが必要じゃ。
わ:「そこで働く社員の給料がどうなるか分からない」って話ですもんね。。
師:という訳で、多くのアーチストとレコード会社の間では、例えば
「2年間でシングル5枚、アルバム2枚を製作します」といった契約をするんじゃ。
け:おぉー!かっこいー!
あ:アルバム1枚で10曲、シングル1枚で3曲として、ダブる曲もあるけど、ボツになる曲も
あるだろうから、「2年間で都合35曲は作って録音しないといけない」ってことですね。。
ま:うわ!大変そう。。
り:当然ライブ・ツアーもあるし、TVラジオ雑誌もあるし、レコード店への営業や、
インストアライブもあるし。。。
け:え?え?え?そ、そんなにやらないといけないの??
あ:寝る時間はかなり少なそうね。。。当然練習もあるし。。
け:え?え?スターになってモテモテでウハウハじゃないのぉー?
ま:何考えてんのよっ!
【音楽だけどビジネス】
師:それだけやろうとすると、レコーディング費用だけで2000万円にもなる。
宣伝費やその他もろもろ含めると、2年で1億円以上の投資になることもあるんじゃ。
け:そそそそんなに-?
わ:投資ですね?
ま:会社が工場を作ったりする時の「投資」?
師:そうじゃ。例えば1億円投資して、2億売り上げがあれば、1億円の利益になるじゃろ。
り:一気に「ビジネス」ですね。
あ:「音楽だけどビジネス」ってやつか。。。
うーん。1枚1000円のCDを10枚売ったら1万円、100枚売ったら10万円。
ま:1000枚売ったら100万円、1万枚売ったら1000万円。。。
わ:10万枚売ったら1億円、20万枚でやっと2億円か。。
20万枚っていったら相当なヒットじゃん!
り:オリコンのサイトを見ると、
だいたいベスト10の10位で週に1万枚くらいだ。
け:ひー!もう20万枚って絶望的。。
師:ふわーっはっはっは。焦ってはいかん!
1.1週間で20万枚売る必要はない。累積(トータル)の枚数でよい。
2.「アルバム2枚シングル5枚で」という話。単価が違うが、単純に割れば
1タイトル(作品)あたり、3万枚ずつ売れればよい。
3.ただし、実際にはCD売り上げの40-50%は問屋さんやCD店の取り分となるので、
上記の枚数でトントン(損失も利益も無い)じゃ。
4.もちろんアーチストの期待度によって、投資額は大きく差が出るし、また、2年契約では
なく、「CD1-2枚をとりあえずやってみよう」という「スポット契約」もある。
あ:いろいろな話が出てきますね。。。
け:いやー俺には無理かと思って、焦った、焦った。
ま:いや、あんたには無理じゃない?
け:グサーーーっ。
【CD発売に重要な季節感】
師:ちなみに、最初に発売日を決めるのは、日本人独特の季節感もポイントになっておる。
あ:春なら「さくら」や「卒業」
り:夏は海!
ま:食欲の秋?
け:え?そ、それは厳しいんじゃ。。
わ:冬は「雪」か「クリスマス」
師:という訳で、真夏にクリスマスソングを作ったり、真冬に「ビーチで~~♪」なんて
曲を作ったり、レコーディングしなきゃならんことがしばしばじゃ。
わ:確かにクリスマスソングをクリスマスの時期に作っても、発売できるのは早くて3月だもんな。
り:「クリスマスケーキを3月に売る」みたいなもんか!
ま:リョウ、タマには良い事言うね!
り:「タマには」って。。。

【音楽の仕事1 レコード会社のディレクターになるには】


師:こういった発売計画を立てて、製作を進め、管理するのがレコード会社のA&Rディレクターじゃ。
A&Rは「アーチスト&レパートリー(楽曲)」の略じゃ。
アメリカでは「音楽的な部分はプロデューサー任せ。A&Rはビジネス専門」という風に分業制
じゃが、日本ではアメリカよりもディレクターが積極的に製作に関わるのぅ。
とは言え、大手レコード会社のディレクターはほとんどが普通の文系4年制大学卒で、
「譜面がまったく読めない」という人も少なくない。
逆に「音大卒のディレクター」という人は、ほとんどいないんじゃ。
わ:へぇぇ~意外!
あ:となると、ディレクターに求められるものは?
師:結構いろいろあるぞ。とにかく多忙なのがディレクターじゃが、
・製作開始から発売まで半年以上になることもあるので、長期の計画を立てて、
段取りを組み、実行していく -> 計画性・段取り力・行動力
・レコーディングは土日休みも無く、連日12時間以上の作業になることも多いが、
最終的なOKを出すのはアーチストかディレクターの役目。
・体力・判断力
・日頃から音楽はもちろん、様々な事柄に興味を持って自分・嗅覚・センスを磨く持続力
・製作チームを集め、まとめるリーダー・ムードメーカー的な人柄と、
コミュニケーション力・人脈
・がんばるだけではなかなかヒットにならない 企画力・発想力
・デビュー前の段階では予算も無く、プロデューサーをつける訳にもいかない。
 プロデュース力・ある程度のレコーディング知識
ま、一番最後の「プロデュース力・ある程度のレコーディング知識」は、大手なら
就職してから数年は先輩ディレクターのアシスタントとして勉強する期間があるので、
その間に必死で吸収すれば良い。ここは「経験」が一番の教科書になる。
が、それ以外は就職前にも自分で勉強できる事も多いんじゃ。
例えば
計画性・段取り力・行動力 -> 飲み会の幹事は必ず引き受ける。
体力・判断力・持続力 -> スポーツに取り組む。
コミュニケーション力・センス -> 積極的に海外旅行に行く、
本物のアートや文学に触れる、など
「自分を磨き、感覚を磨く」ことじゃ。
り:で、どうすればレコード会社のディレクターになれるんですか?
師:まずは普通に就職活動してレコード会社に入る。(音楽の試験はほとんど無い)
しかし、日本では「就職=会社に入ること」で、一度会社に入ってしまうと、
あとは人事部に言われるがまま。
だから、
・経理になるか、
・営業になるか、
・工場になるか、
・宣伝になるか、
・法務になるか、
・人事になるか、
・庶務になるか、
・製作(ディレクター)になるか、
は、分からない。
け:レコード会社と言っても、普通の会社みたいにいろんな部門があるんですね。
り:「会社」だからね。
師:そして、「会社」なので、人事異動もある。
・製作から営業へ
・営業から宣伝へ
・宣伝から人事へ
・人事から庶務へ
・庶務から製作へ
わ:さすがに庶務や法務から製作になったらビックリだろうなー!
師:そうじゃのぅ。。ただ、製作・営業・宣伝の間では結構入れ替わりもあるんじゃ。
営業でCD店やリスナーから「何が求められているか」という話を直接聞けるのは、
後で製作をやる時には、非常に役に立つじゃ。
逆に、製作の経験者は、
宣伝や営業の際に「製作現場の熱気」をリアルに伝えることができるんじゃ。
ま:ワオ♪宣伝や営業もおもしろそう♪
あ:そのあたりはまた今度!
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音楽の仕事講座 CDができるまでの流れを知ろう①
CDができるまでの流れを知ろう② まずはメロディーだけ 作曲家の仕事
CDができるまでの流れを知ろう③ 編曲家・アレンジャーの仕事
CDができるまでの流れを知ろう④ 歌詞を作る 作詞家の仕事

Originally posted 2011-06-02 02:25:00.